アシドーシスがなくてもアニオンギャップや補正HCO3-を計算する必要がある理由

皆さんこんにちは!今日は血液ガスに関する話を少し書いてみようと思います!血液ガスって難しいイメージですよね∑(´□`;) 私も苦手でした…。

またまた私が研修医になりたての頃の話。上級医に言われました。

「まず血ガスを取ったらルーチンでアニオンギャップと補正HCO3とA-aDO2を計算しなさい。意味は考えずに全例まずはこれを必ずやるべき。」

これは極端な話ではあるのですが、要するに素振り(計算)の練習をしないで、ホームラン(血液ガス分析)を打とうと思わないことってことですかね!

私がこれを言われてちゃんと意味が分かったのは半年くらい経ってのことでした。

まず血液ガスを読むポイント-呼吸性の変化を見たいのか、代謝性の変化を見たいのか

みんなが血液ガスで混乱するのは、「呼吸性アシドーシスがあって、その代償変化で代謝性あるカローシスがあって…」と初めから両方を同時に意味を分からず読もうとするからです。「呼吸の評価をしたいのか」「代謝の評価をしたいのか」でポイントは違ってきますから、まず今自分はこの人から取った血液ガスで何をみようとしているのか、を明確に考えることです。

今日は主に代謝性の評価の話を書いていきます。というのも、呼吸の評価に比べて裏技的なテクニックが色々あったり、混乱しやすいのはこの代謝性の評価の方だと思うからです。

そもそもアニオンギャップとは?

まずはアニオンギャップについてのおさらいをしてみます。

アニオンギャップ

教科書で見たことがある図だと思いますが、アニオンギャップは測定されない陰イオンと陽イオンの差です。つまり上の図で言うところのUA-UCを計算するわけですが、血中のイオンのほとんどはNaとHCO3とClイオンなので、この差を出せばUA-UCの差に近づくんじゃないか?という考え方ですね。

アニオンギャップ=Na+-HCO3-Cl

このアニオンギャップが臨床的にどんな意味を持つかといえば、測定されない陽イオン(UC)が減るという状態はほとんどないので、

アニオンギャップが上昇している≒血中の測定されない陰イオンが増えた

ということです。血中の測定されない陰イオンとは乳酸や硫酸、酢酸などを指しますから、こういった酸の溜まるアシドーシスが存在する、ということですね。

補正HCO3とは?

では次に補正HCO3とは何か?これも教科書的な説明をすると、アニオンギャップ開大のアシドーシスがあった場合に、このアシドーシスを補正した場合のHCO3濃度です。

補正HCO3=(実測HCO3)+(計算されたアニオンギャップ)-(正常のアニオンギャップ)

で計算されます。つまりアニオンギャップが増大(計算されない陰イオンが増えた)分、実測HCO3は低下(アシデミア側に推移)しているはずですが、このアニオンギャップ増大分を戻してあげた場合のHCO3が正常かどうかを確かめるのです。

つまり、補正HCO3がアシドーシス(24以下)であるということは、アニオンギャップ開大を戻してもアシドーシスがある→つまりアニオンギャップが開大しないアシドーシスも混在しているということを指します。逆に、HCO3-が24以上であるということは、代謝性アルカローシスの合併もある、ということです。

一見アシドーシスがない人にも全例アニオンギャップを計算する意味があるのか?

そして教科書的なおさらいはおしまいにして、今日の本題です。研修医が始まった頃に上級医から言われたことで私はずっと思ってました。アニオンギャップは「代謝性アシドーシスの鑑別のために計算するものであって、血ガスでアシドーシスがない人にもなぜ全例計算するの?」と。今思えばなんてバカだったんだろう、と思うんですけれど、結構研修医時代はここでつまづく人も多いんじゃないかと思うのです。

私の中でこれの整理がついたきっかけは、こんな血液ガスデータを見たときでした。

ある救急外来に搬送された患者。病歴の詳細は不明だが、嘔吐を繰り返して非常に状態が悪そう。とりあえず血液ガスを取ってみることにしました。

pH 7.40 Na 145
pCO2 40 K 4.0
pO2 100 Cl 100
HCO3- 25

この血液ガス、一見すると何の異常もなさそうに見えませんか?でもこの患者でアニオンギャップを計算してみるとびっくりします。

アニオンギャップ=145-25-100=20

です。つまり、この人はアニオンギャップが盛大に開大したアシドーシスがあるわけです。では次に、補正HCO3を計算してみます。

補正HCO3=25+(20-10)=35

というわけで、この人は補正HCO3も増大、つまり代謝性アルカローシスも合併していることが分かります。

アシドーシス

つまり、もともと正常値だったところで何かアニオンギャップが開大するアシドーシスが起こった。この原因は病歴を聞かなきゃ分からないけれど、尿毒症かもしれないし、ケトアシドーシスかもしれない。そこで更に嘔吐が重なってClイオンの喪失が起こってHCO3は正常化してpHも正常化してしまったということでした。

まとめ

ちょっと極端にした血ガス結果を出してみたけど、結局大事なのはpHもHCO3も私たちが見られるのは最終的な結果であって、その途中過程は全く反映してくれないということ。だからその途中で何が起こったかを確認するためにアニオンギャップや補正HCO3を計算するわけです。

こう考えたら最初にこの血ガスの概念を考えた人はすごいなぁと私はいつも思うわけです。

参考書籍:より理解を深める!体液電解質と輸液(Amazon 楽天)

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